油日神社(あぶらひじんじゃ)

Tel:0748-88-2106甲賀市甲賀町油日1042

楼門の 蟇股 かえるまた 「生きた鳩の彫刻」のお話

蟇股

今から460年ほど前、油日神社の 楼門 ろうもん が湖東地方甲良村の名工として知られた宮大工によって建てられました。その楼門が立派にできあがり、おひろめのためにお参りする人たちで賑わうその時でした。何か音がするぞという声と共に誰彼となく楼門の方に視線が集まる先に、一羽の鳩が門の屋上高く舞い上がり、西にある大杉を超えて飛んでいきました。
「あれ何事や。」「なぜ鳩が出てきたんや。」などの声があがりました。そのうち、集まった人たちは、楼門の北に面した「 蟇股 かえるまた 」の中にあるはずの鳩の彫刻が無くなっている事に気づきました。するとさっきの鳩は、本物の鳩になって飛んで行ったのではないかと大勢で鳩の行方を捜しました。しばらくして、「見つけたぞと!」と叫ぶ声がしました。鎮守の森の西側にある豆畑の中で一羽の鳩が豆をついばんでいたのです。何人かが足音を忍ばせて近づいてみると、その鳩は新しい木の香りがする彫刻でした。それを見た人たちは、いくら名工の作とはいえ、なんという不思議なことやと黙ってしまいました。そして、ようやく鳩が動かなくなったので、元の蟇股に収めました。ところが、それから毎日食べられました。これはきっとあの蟇股の鳩の仕業に違いないという噂がたちました。やがて、誰がしたことなのか、蟇股の鳩の片方の羽がもぎ取られてしまいました。
その後、豆畑は荒らされずにすんだそうです。

出典:甲賀地域研究会 甲賀湖南のむかしばなしより


※宮大工 棟梁大工 甲良五良左衛門尉
※大杉  境内釣鐘の近くに切り株が残っています
※蟇股  かえるまた
いたずら心を忘れないこの鳩の彫刻は、最近では映画等撮影にこっそりと映り込んでおります。

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